2013年9月25日水曜日

合意なんてしてないよ

さて、今夜はまた裁判の話をしなくちゃいけないんですよ。そう、この件について僕には語らなければならないことがあるんです。大袈裟に言えば、法治国家に生きる一市民としての義務なんですよ。。。

このテーマでのこれまでの記事は以下一覧の通りなんですが、

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 これ以前の記事はこれまでの法廷モノ一覧参照
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改めて本件をおさらいすると、

僕とある住宅メーカーとの間で交わされた建築請負契約が着工に至ることなく解除されました。解除の態様は後述するとして、その後、契約時に支払われた手付金等の返還並びに損害賠償の支払を巡り双方の間で裁判が起こりました。

そして地裁、高裁を経て、裁判では相手方の責任によって契約が解除されたものと認められ、相手方が受け取った手付金等の全額返還とそれに掛かる利息の支払が命じられました。

しかしながら、上記契約解除の態様については一、二審判決ともに極めて不明瞭な点があり、またその他の争点もさらに争うことを意図して先日最高裁に上告しました。

契約解除については、当時、相手方が「契約を解除する」という意思表示をしたことに対し、僕が「仕事を辞めるのなら、それ相応の金を払え」と応じたことによって事実上成立したと考えられるわけですが、

この解除に対する解釈の仕方が、

1)お相手さん
2)僕
3)裁判官ら

の間でそれぞれ異なるんですよね。

そしてこの解釈の仕方でお相手さんの僕に対する支払額が100万円単位で変わってくるので、この裁判では大きな争点の一つになったわけです。

そしてそれぞれがどのように主張したかと言うと、お相手さんは僕のせいで契約を解除せざるを得なかったとし、僕は僕でお相手さんが仕事を勝手に辞めたと主張しました。互いがその相手方の債務不履行に基づく契約解除を主張したわけです。

しかし裁判官らは、判決でお相手さんの責任による解除であることは認める一方、僕の側から契約解除を行ったわけではないとし、お相手さんの解除の意思表示を僕が受け入れることで解除が成立したとの判断を下しました。

コレ、たぶん、普通の人が読んでもここにどのような意味があるのか全く分からないでしょうし、ひょっとすると法律の専門家にとってみても「???」の内容じゃないかと思うんですが、

つまり、裁判官らは、契約解除の成立に必要な「解除の意思表示」にこだわったわけです。

民法540条(解除権の行使)1項には、

「契約又は法律の規定により当事者の一方が解除権を有するときは、その解除は、相手方に対する意思表示によってする。」

とあり、裁判官らは、僕がこの解除の意思表示を相手方に対し行っていないと言うんですね。

契約解除時の当事者間でのやりとりは、上記のとおり、

お相手さん:「契約を解除する」
僕:「辞めるなら金払え」

というものだったわけですが、裁判官らはこの「辞めるなら」という部分で僕が相手方による解除を受け入れた(合意した)とし、「金払え」の部分で僕が相手方による解除を前提に請求を行ったと認定判断したのです。そして、上記のやりとりからは、僕の側から契約解除の意思表示を行ったとは読み取れないとの結論を下しました。

お相手さんによる解除も認めず、また僕の側からの解除もその意思表示がないため認めず、裁判官らは独自に、当事者間で契約を終了することに対しての合意が上記のやりとりを通して成立したと認定したわけです。

僕、この解釈を一審の裁判官(井上一成 裁判官)から聞いた時、本当にキツネにつままれたと言うか、何か釈然としないものがあったんですよね。なぜかというと、当時、僕は相手方の言い分に合意したという認識など全くなかったわけですよ。

だってそうですよね。相手方は契約の解除は坂本さんの責任だって言ってきたわけで、僕がそんな言い分に合意することなどあるわけないじゃないですか。僕は相手方が不当に仕事を放棄したって主張してたわけですから。。。

そして僕は「契約を終了する」ということと「その終了に伴う清算」とをバラして取り扱うのは詭弁であり、解除の合意があったかどうかは、清算の仕方を含めた「解除の趣旨」に対しての合意があったかどうかで決まるはずだとの主張を控訴審(控訴理由書)において行ったわけですが、二審裁判官らはこれを無視し、一審判決における判断を踏襲しました。

(次回につづく)

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