2016年9月29日木曜日

殺すかどうかはさておき

アナウンサーの長谷川豊さんという方のブログ記事が話題になっているようですね。今日の朝日新聞で読んだんですが、この記事を理由にテレビ大阪の番組を降ろされたとか。不健康な生活習慣により人工透析を受けるまでになった患者など自業自得なんだから高額な保険医療を施す必要なんてない。殺せ、と主張されたそうです。もちろんこういう発言は批判しやすいので、世間からは「酷い」「最低」「人間失格」といった罵声が浴びせられている。僕自身も注目を集めるためであるにせよ「殺せ」という言葉までわざわざ使う必要はなかったと思う。でも、この人の主張にも一理あって、保険医療のあり方については国民一人一人が理解して、それがどうあるべきかを考えていかなくてはならないと思う。これは透析治療に限ったことではなく、日々の飲み過ぎ食べ過ぎ運動不足による病気の治療、自己の不注意によるケガの治療などについても同様なことが言えるのだろう。「殺す」かどうかはさておき、みんなで出し合った保険料がどんな人たちのために使われているのか、税金の使い道と同様に、国民が関心を持つことくらいは許されるべきではないか。たとえばの話、その保険料がヘビースモーカーや大酒飲みの治療のために使われているのなら、タバコを吸わず酒も飲まない人の多くは釈然としないものを感じるだろう。。。話は少し飛ぶんですが、日本の医療は特別で、「自業自得」で抱えてしまった問題を公金で救済する仕組みが確立されているんですよね。働かなかったり無計画にカネを浪費して自業自得で貧乏になった人や事業に失敗し借金抱えて自殺しようとしている人たちには冷たかったりするのにね。それだけ医療は社会保障の最後の砦で特別扱いされているんでしょうが、超高齢化社会を迎え、無制限な人道主義を唱えることも現実的に難しくなってきているんじゃないか。。。まずは、健康であるよう努めることが自分だけではなく世の中のためにもなることを一人一人が自覚できるようにすることが大事だと思います。

2016年9月28日水曜日

微妙なところで

忙しい日々が続きますが、オフィスで仕事ばかりしているわけではありません。仕事か遊びか微妙なところで時を過ごすことも多く、覚醒している1日16時間ほどの間、ずっと仕事をしているようでもあるし、ずっと遊んでいるようでもある。好みはあるでしょうが、個人的には幸いそういう形で生活できていることをとても有難いと思っている。振り返れば若い頃からこういう生活を目指して着々と準備してきたというところもある。思えば叶うというほど人生は単純なものではないと思うが、人間というのは、自ら気づいているかどうかはさておき、その人が心の底で思い描いている人に近づいていく傾向はあるように思う。。。さて、久しぶりのブログですが、実は書きたいことリストは溜まっている。でも今日は再開したばかりだし、他愛もない話をしよう。アメリカ大統領選挙の話だ。ヒラリー優勢の状況ではあるようだが、僕はひそかにトランプが勝てば面白いことになるのではないかと期待している。今年の初めに、戦争とか災害とか市場暴落とかが起こり、世界の在りようが大きく変わり始める1年になるかもしれないとこのブログに書き留めておいたのだが、もしトランプが勝利することになれば、その予感が現実味を帯びてくるかもしれない。ヒラリーが削除したという大量のメール。近々公開されないかな^^

2016年9月21日水曜日

物語のある島で

すでにFacebookでたくさん投稿してますのでご覧になって頂いている方もいるかと思いますが、先週末はCBR2016でした。今年で4回目で、毎年、淡路夢舞台で開催しています。この学会のカラーと会場の雰囲気、淡路島の雰囲気がとてもピッタリとマッチしていて、本当に夢舞台サマサマ、淡路島サマサマですね。この島には国生みの神話があり、また人によればこれからこの島が世界の中心地になっていくとか。まぁ、そんなことが起こったとしてもそれは何十年、何百年単位の長い長い話なんでしょうが、子孫のことを考えると今からこの島の土地を少しづつ買い進めていくのも良いかもしれませんw。近所にこういう物語のある島があって嬉しいです。。。毎年この学会をやってきて気づいたのですが、この学会に参加する人たちって楽しいことが好きというか、基本的な姿勢として、人生を楽しもうとしている人たちです。それは間違いなく言えますね。。。今回は学会テーマである「インテリジェンス」を軸にいろんなテーマを盛り込んでいたのですが、各テーマ単体でも、そしてそれらを組み合わせた全体としても快調にワークしたと思います。学会が終わり、会議場を出る前にご挨拶のビデオを収録しました。宜しければご覧下さい。


 

2016年9月16日金曜日

コピペの文化

さて、今日もあっと言う間に日付変わっちゃいました。今日の勤めは終わったことにしてこのまま寝ても良いかと思ったけど、ちょっと気が向いたので書いておこう。

ひと月ほど前からインスタグラムに投稿始めてます。Facebookだけでも十分なんですが、ちょろっと大した意味もなく写真を投稿したい時もあるので、そんな時には使えるかもね。

FBは30過ぎた人たちが人生の教訓とか重たいこと投稿してたりすることが多いので若い人たちには鬱陶しく感じることもあるかもね。

そんなのじゃなくって、若手はもっとダイレクトに、シンプルに、そしてアバウトに、視聴覚を刺激するものの方が分かり合えるのかもしれない。。。

でまぁ、それはさておき、最近、ネットとリアルの両方で、療法士のセミナー業界に関する話(同じ話)を幾つか耳にした。

若手の人たちがセミナーに出て、それをそのまま自分のセミナーで受け売りしているという話。

まぁ、僕自身はそういうセミナーに出たことがないので、それが事実なのかどうか見極めようがないのですが、何人もの人が口を揃えて同じようなことを言っているのでおそらくそういうこともあるのでしょう。

そういうのは詰めていけば法的にも問題になり得るのだろうけど、周りで見ている人たちからすれば、それ以前にみっともないからやめて欲しいという思いが強いのかもしれません。

でも、こういう話を聞くと、確かに受け売りしている若手を批判する人たちの気持ちも分かるけど、僕はどちらかというとそういう人たちが世に出て来る土壌の方に目が行くな。

なかには「明日から使える」とか「一発で治る」とか、イージーなコンテンツ売ってる人たちもいるみたいだけど、そういうのが売れるというのは結局のところ、業界自体がそのレベルの人たちの集まりなんだよね。

もちろん、知識や技術の中には明日から使えるものもあるだろうし、一発で治るものもあると思う。でも、それだけでやっていける世界って何か安っぽい感じしますよね。

たとえば、医者の世界で「明日から使えるオペテクニック」とか「一発で治る薬物療法」みたいなセミナー開催して人集まるかな?

弁護士だと「明日から使える法律解釈」とか「一発で決める尋問術」とか、そんなセミナーになるんでしょうか?

受け売りの話に戻るけど、日本の療法士の世界って、たとえば教授クラスや教祖レベルの人でもほぼ例外なく他所(よそ)から聞いてきた話の受け売りなんだよね。その人たちが書いた本や論文の内容にしても、実質的にはコピペなんですよ。

僕、最近、療法士の学会に行くようになって分かってきた。行く前からも分かってたけど...

そういうノウハウというか、受け売り文化が業界に根付いているから、一部の野心ある若手が同じような段取りで勝負しようとしているだけのように思うんですけどね。

ま、別にそれが良いとか悪いとかの話ではなく、ただそうなんだろうと思うだけですけども^^

2016年9月15日木曜日

CBRベーシック・ショートプログラム

★ 脳とリハビリ研究所 ★
〜CBRベーシック・ショートプログラム〜

<基礎編> 神経解剖学・電気生理学・分子生物学
<システム編> 感覚・運動・情動・学習・記憶

『カンデル神経科学』をベースに神経科学の基礎を学ぶ1日完結の研修会です。

下のポスターをクリックすると、概要がコンパクトにご覧いただけます。

 ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 





10月23日(日)大阪会場を皮切りに、東京、札幌、福岡、名古屋、高松の全国6都市を巡ります(現在、参加受付中の会場は、3月19日東京会場、4月30日高松会場、5月7日札幌会場です)。

一日限りのセミナーなので深くはカバーできませんが、これを受講することで、神経科学の世界的スタンダードの一端に触れることができます。

テキストの『カンデル神経科学』は2000年にノーベル医学・生理学賞を受賞されたエリック・カンデル先生が中心となり編集された神経科学界におけるバイブルです。

私も随分前になりますが、MITの利根川先生経由でPNASに投稿した論文をカンデル先生にレビューしてもらったことがあります。

好意的なレビューをしてもらったんですが、他のレフリーからの評価が辛く、結局採択には至らなかったんですけどね...f^^

今回はそのカンデル先生の代表書籍をテキストに、神経科学界が長年にわたり積み上げてきた知の全体像を日本のセラピストに伝えることで、ささやかではありますがご恩返しできればと思っています。

この全国ツアー参加者への特典も用意しています。

詳しくは、

講義シラバス
http://stellar-mind.com/cbr-basic-sp/program2016.pdf

もしくは、

参加申込サイト

をご覧下さい。

神経科学または神経リハビリテーションを学び実践していくための指針を得て下さい。

全国各地に『カンデル神経科学』のエッセンスをお届けします。


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脳とリハビリ研究所
〜CBRベーシック・ショートプログラム〜
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日程:

*現在、3/19東京会場、4/30高松会場、5/7札幌会場のみ参加申込を受け付けています*

2016年10月23日 大阪会場 (終了)
2016年11月20日 東京会場 (終了)
2016年12月11日 札幌会場 (3/26に順延)
2017年01月15日 福岡会場 (終了)
2017年02月12日 名古屋会場(終了)
2017年02月19日 大阪会場 (追加公演)
2017年03月12日 高松会場 (満席)
2017年03月19日 東京会場 (追加公演)
2017年03月26日 札幌会場 (満席)
2017年04月30日 高松会場 (追加公演)
2017年05月07日 札幌会場 (追加公演)

* いずれも同内容です
* 参加を希望する会場を選択して下さい

講師:

脳とリハビリ研究所
ディレクター
坂本年将

主催:脳とリハビリ研究所(CBR)
運営:株式会社ステラマインド

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申込方法などの詳細は、

参加申込サイト

をご確認下さい。


脳とリハビリ研究所
ディレクター
坂本年将

2016年9月11日日曜日

全人的復権

9月17日・18日開催のCBR2016でランチ会をします。

学会2日目、会場の淡路夢舞台にあるアート山美術館で開催します。

今回、このランチ会に建築家の伊藤壽浩先生をお招きし、ちょっとしたセミナーをやります。

建築と芸術と宗教に関わるお話です。

伊藤先生はこれまで30年以上にわたり、住宅、学校、病院など、数多くの作品を手がけられてきました。

どれも大胆で個性的な作品です。

先生が建物をデザインする時のインスピレーションがどこから来るのか?

今回のセミナーでは、僕が常々伊藤先生にお聞きしたかったことを(その手がかりを)お話頂けるのではないかと思っています。

脳とリハビリの学会に建築の話なんて関係あんの?

と思う人たちも少なからずいると思いますが、これは単なる余興としての教養講座ではありません。

人の生活における建築の役割を突き詰めて考えると、建築もまた、その他の芸術と同様に、人がその心を取り戻すためのリハビリテーションの手段になり得ることが分かるはずです。

このランチ会だけの参加も出来ますので、興味のある方はこのブログ末尾に記載の要領に従いお申込下さい。

先日、伊藤先生からセミナーの抄録を送って頂きましたので以下転載しておきます。

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9月18日 CBR2016ランチタイムセミナー
〜建築・芸術・宗教〜
伊藤設計室 伊藤壽浩 先生
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そもそも建築は絵画、彫刻、音楽まで包含した総合芸術でした。

さらに建築史を彩る教会や神殿は宗教施設であり、エジプトのピラミッド、ギリシャの神殿、キリスト教の教会という西洋建築史の発展は、その後近代まで続く人間と神との関係の変化そのものであり、言いかえれば人類意識の発展の歴史そのものだと私は考えます。

この発展は社会構造が根底から変化した近代に至ると決定的な変化を迎え、人間は自らを神から完全に遮断することになります。

現代建築の起源ともなったこの時期の様式が目指したものは、文化、風土、立地の特性といった地上的な要素を考慮する必要のない極めて概念的で抽象的な建築でした。

科学の発展と経済原理による一元化と共に人間理性による支配は続き、現代その潮流はさらに速度を速めているように見えます。恐らくそれほど遠くない将来、建設と言う行為は現在とは全く異なるものとなるでしょう。

豊かな特性を持つ自然な素材に取って代わり、強さと可塑性を持った樹脂のような素材を人の手に代って3Dプリンターが加工することになるでしょう。

そして法的、経済的条件整理のみを行ってきた建築家はAIに取って代わられ、そこに更にVRも加わって虚実あいまった世界が生まれるようになるのかもしれません。

それがいかに自然や人間性に反するように見えようとも、避けて通れない道なのでしょう。

しかし逆にこうした事態そのものが、本当に大切なもの、人間がすべきことを教えてくれる又とない機会となるのかもしれません。

建築はそもそも芸術であり宗教でした。かい離した肉体と精神の再統合という古くて新しい課題の為に、いまこそ建築が本来の役割を果たすべきだと私は思うのです。

<抄録ここまで>

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建築も心と身体の問題、リハビリテーションに深く関わっているのだと思います。

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CBR2016ランチタイム企画
〜アートに触れる〜
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日時:2016年9月18日(日)11:30〜14:30
会場:アート山美術館(淡路夢舞台内)
講師:伊藤設計室 建築家 伊藤壽浩 先生
会費:2,500円(入館料・昼食代込)現地払い

申込方法:

1)お名前、2)おところ

をメールでお送り下さい。

メールアドレス info★stellar-mind.com(★を@に)
件名は「CBR2016ランチ会」でお願いします。

また、CBR2016への参加もまだ受け付けています。9月17日・18日に都合のつく方、今度の連休を有意義に過ごすチャンスですよ。

人生、キャリアの転機になるかも....


CBR2016参加申込サイト
http://stellar-mind.com/cbr2016

皆さんのご参加お待ちしています。

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【伊藤先生プロフィール】建築設計事務所勤務を経て渡独。自由ユーゲントゼミナールでルドルフシュタイナーの思想や芸術を幅広く学んだ後、キリスト者共同体自由大学にて人智学、キリスト教を深める傍ら建築設計事務所で研鑽を積む。1989年伊藤設計室を設立して現在に至る。2001年NPO法人京田辺シュタイナー学校開校と共に宗教専科教員を兼務し現在に至る。代表的な作品に京田辺シュタイナー学校、神戸女子大学同窓会館、あげつまクリニック別館などがある。トータルな人間観に基づいた空間を目指して、これまで教育施設、医療施設、個人住宅などを多数手掛ける。伊藤設計室公式ホームページ http://www.ito-arc.com/

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指針を得て下さい

今日は大学院入試で試験監督やら面接官やらやったのですが、昼休みに来月から始まる全国ツアーの案内をFBに上げました。

こちらがそのフライヤー ↓





一日限りのセミナーなので深くはカバーできませんが、これを受講することで、神経科学の世界的スタンダードの一端に触れることはできると思います。

テキストの『カンデル神経科学』は2000年にノーベル医学・生理学賞を受賞されたエリック・カンデル先生が中心となり編集された神経科学界におけるバイブルです。

僕も随分前になりますが、MITの利根川先生経由でPNASに投稿した論文をカンデル先生にレビューしてもらったことがあります。好意的なレビューをしてもらったんですが、他のレビューアーからの評価が今いちで結局採択には至らなかったんですけどね..f^^

今回はそのカンデル先生の代表書籍をテキストに、神経科学界が長年にわたり積み上げてきた知の全体像を日本のセラピストに伝えることで、ささやかではありますがご恩返しできればと思っています。

10月23日の大阪会場は開催までそれほど日がないので、大阪周辺にお住まいの方は早めにお申込み下さいね。

神経科学または神経リハビリテーションを学び実践していくための指針を得て下さい。

2016年9月9日金曜日

いよいよ明日

さて、今夜2本目のブログなんですが、どうしてもお知らせしておきたいと思いまして。。。先月、このブログでも少しご案内したCBRの全国ツアーなんですが、諸々の調整が完了しまして、いよいよ明日、参加申込の受付を開始します。10月の大阪を皮切りに、来年の3月まで、東京、札幌、福岡、名古屋、高松を巡ります。全国各地に『カンデル神経科学』のエッセンスをお届けします。世界に通じる知識と知恵を習得しましょう。明日の夕方、CBRのFBページをチェックして下さいね。宜しくお願いします。

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CBR全国ツアー2016
〜CBRベーシック・ショートプログラム〜
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開催日:

2016年10月23日 大阪会場
2016年11月20日 東京会場
2016年12月11日 札幌会場
2017年01月15日 福岡会場
2017年02月12日 名古屋会場
2017年03月12日 高松会場

主催:脳とリハビリ研究所(CBR)

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みんなと同じ

涼しくなってきました。ここ数日、朝のお散歩を再開してます。身体が馴染めばランニングにステップアップしていきたいですね。有酸素運動で頭スッキリするのは僕も実感します。たぶん海馬のニューロンも増えているんでしょう。測ったわけではないですけど。。。

臨床実習から帰って来た4年生もそろそろ就職活動本番です。もうすでにギンギンに動いている人たちもいると思いますが、まだまだこれからという人たちも多いでしょう。

セラピストとしてのキャリアをどこから始めるかはとても重要なことですけど、案外、自分が何をしたいか分からないという人たちも少なからずいるんじゃないでしょうか。

法学部や経済学部の学生だと、製造業とか金融業とか小売業とか、選択肢としていろんなジャンルがあって、その中でも営業とか企画とか経理とか、いろいろブレイクダウンしていかなくてはならないのでしょうが、リハビリの学生はほぼ全員リハビリ業に就くのでそこのところで大きく迷うことはありません。

ただ、リハビリ業の中でも急性期とか回復期とか維持期とか、患者の回復のステージに合わせて業態が区分けされていて、どこから入るかくらいは考えます。

また、医療分野(病院)か介護分野(病院外)かといった選択もありますね。

現時点ではまだまだ病院に勤める人たちが多いですが、全体的に観れば、リハビリ系の人員は医療から介護へと流動しているし、今後ますますこの流れの勢いは増してくるんじゃないでしょうか。

学生は設備と人員が揃った大きめの病院で「まずは回復期から」という人たちが多いように感じてますが、これからの流れに乗るということを考えれば、いきなり地域(通所施設とか訪問事業所など)から始めても全然良いんじゃないかと思う。

大きな病院の回復期リハって、そんなに勉強になるんですかね?

そんな話を地域で頑張っているある中堅セラピストと先日してたんですが、今就活中の学生に(そしてそれ以外の学生にも)聞いて欲しいと思う話が出来たので、またこのブログでも書いてみたいと思います。

「みんなと同じ」が中流だったのは昭和の話。今はもうそんな正規分布の時代ではないのかもしれないよ。

2016年9月7日水曜日

するってぇ〜

昨夜は筆の向くまま「(医者と比べると)セラピストの中にはどう考えても全く分からないことにクリアな答えを持ってたりする人いるんですよね」なんてことを書いたのだが、書き終わった後、「確かにそうだよなぁ...」と妙に自分の書いたことに感心した。

学会なんかに行っても、結論に至るまでのスピードが恐ろしく速い人たちは確かにいる。トントントンって感じです。たぶん頭が良いのだろう。。。

これはあまり明るい話題ではないし、読んでいてウキウキしてくるような話でもないのだが、昨日のブログを書いた後、不意に思い出した話があったので忘れないうちに書き留めておこうと思う。

どう捉えるかは読んだ人の自由です。

もう何年も前の話なんですが、あるセラピスト教授の先生と、生後、脳に記憶されたことがその人の子に遺伝的に伝わるかという議論になった。

もちろん現代の生物学の知識をもってすればそんなことはあり得ないのだが、なぜかその教授先生は「遺伝する」と言い張るのです。

ま、ひょっとすると僕には到底想像も出来ないような深い見識に基づいているのではないかと一応さまざまな角度から質問を交え探ってみたのですが、最後はその先生、「するってぇ〜」の一点張りとなってしまいました。

そしてしばらくすると、「あっ、せえへんわ〜(遺伝しない)」と前言を撤回するに至るんですね。。。

その方は研究畑の人というよりは臨床好きの人で、ま、そんなこと知らなくても別に良いとは思うんですが、ここで僕にとって大事なのは、知っているか知らないかではなく、自分が知らないことに対しその人が明確な(「遺伝する」という)ポジションを取ったことなんです。

これって知識の問題ではなく、姿勢の問題なんですよね。

知識は知らないなら調べるなり教えてもらうなりして知れば済むことなので、話をしながら共に結論を探していくことも出来ますが、姿勢の問題となると結論を探す手続きが共有できないので、まともに話をすることが難しくなります。

そういう感じだと、学問的なことだけではなく、臨床や教育もそんな調子でやってるんだろうなと思ってしまいますよね。

臨床をしてる時だけ、あるいは学生を教育している時だけ、論理的な思考ができるとはどうしても考えられない。

そういう人が大学教授をして学生を教えているというのもおかしな話だと思いますね。

大丈夫か日本?

てか、大丈夫かリハビリ業界???

一応補足しておくと、生き物の世界の在りようは人間の想像力を遥かに超えているので、ひょっとすると人が生後経験したことの記憶も生殖細胞に伝わり子に遺伝してるのかもしれません。

僕が知る限り、まだその仕組みは発見されていないですけどね。

2016年9月6日火曜日

狙い撃ち

9月になりました。もう数日過ぎました。朝晩は少し涼しくなりましたね。実はお盆を過ぎたあたりから徐々に身体が痒くなり、気が付けば背中に発疹が。。。そしてアレよアレよと言う間にほぼ身体全域にそれが広がる事態に。。。こういうのは生まれて初めてだったんですが、皮膚科に行くと教科書的な蕁麻疹だとか。。。抗ヒスタミン剤を飲んで、最初の日は「コレ効くなぁ!」と思うほどに痒み止め効果があったんですが、結局は対症療法なのでヤクの成分が身体から抜けると元に戻る。そしてこれを繰り返している間に発疹はどんどん拡張していきました。初めは先生共々楽観してたのが、「こりゃ、ただの蕁麻疹じゃねえな...」ということになり大きめの病院を紹介されることに。血液検査の結果、肝臓がやられてて炎症反応があって白血球が増えてるということで、何かに感染したんだろうという結論に至った。。。結局は「日にち薬」で、ようやくここ数日、元の身体に戻ってきた感があるのですが、この夏のオフシーズンを狙ってここぞとばかりに発症した気もしますね。そう、ほかに病気になれるスケジュールがないという感じの狙い撃ちです。。。今回、久しぶりに病院のお世話になりましたが、蕁麻疹の治療法は確立されているのにその原因は現代の医学をもってして未だ解明されていないんですね。肥満細胞からヒスタミンが出て浮腫と痒みを起こすことは知られてますけど、何が肥満細胞を刺激するのかは謎なのです。今回も状況的には感染が疑われたわけですけど、何がどうなったのかは謎なんですよ。。。医者の世界の良いところは分かることと分からないことを明確にしているところですね。セラピストの場合、どう考えても全く分からないことにクリアな答えを持ってたりする人いるんですよね。

2016年9月1日木曜日

豊かな生活

Facebook に写真を幾つか投稿しましたが、この週明けは飛騨高山を訪れました。今回計画を立てるまで知らなかったのですが、岐阜県と言っても、もう少し行くと富山なんですね。でも神戸の自宅からだと高速道路が延々と繋がっていて、目的地まで辿り着くまでほぼ信号待ちすることなかったです。制限速度を守れば 350 kmを4時間30分といったところでしょうか。

今回の旅のお目当ては同地にあるフィン・ユール(Finn Juhl)邸。ヤコブセン、ウェグナーらと共に20世紀にデンマークで活躍した家具デザイナーです。特にペリカンチェアなど椅子のデザインが有名で、日本でも北欧家具に詳しい人なら知らない人はいないはず。僕自身は日本に帰って来た時(2007年)に何も家財がなく、しばらくの間、休みの日はいつも家具屋に入り浸っていたのですが、その頃にこの手のことをお勉強したんですね^^

知ればいろいろその奥深さが分かってくるものですが、はっきり言えることはデンマーク人はイタリア人とは違うということ。。。イタリアはやはり南欧ですから陽光キラキラの世界で実用性より見た目が大事。座ると痛いアクリルの椅子でもお構いなしですが、デンマークは視覚だけではなく座り心地も追求した木の温もりを感じる世界です。ま、どちらも日本にはない独特な曲線美があり個人的には両方好きですけど、デンマークの方が畳の部屋など和風建築に合いますね。

高山にあるFJ邸はデンマークにある現物のレプリカで、各方面からの出資を基に2012年に建てられたそうです(詳しくはこちら)。これを管理する株式会社キタニジャパンの方に当日は案内頂きましたが、この会社自体がフィン・ユール設計の家具を製作・販売されていて、お話を聞く限りでは、会社の事業の一環としてこのプロジェクトを企画されたようです。ガイドの方もデンマーク家具の大ファンでしたが、多額の出資を募りこだわりのモデルハウスを作るとは、なかなかの思い入れですね。

どういう経緯で高山にあるこの家具工房がフィン・ユールと繋がったのか。興味があり聞いてみたのですが、創業者の方が本業とは全く別に福祉に関心があったとのこと。そして福祉先進国であるデンマークの福祉施設を訪れた際に高齢者や障害を持った人たちが自分の好きな家具を自室に持ち込み楽しそうにしていたのを目撃したことが始まりのようです。なんだか視覚や座り心地といった脳科学だけではなく、リハビリテーションにも繋がって来ましたね^^

そこからフィン・ユールに辿り着き、家具事業を起こし、アートミュージアム(FJ邸レプリカ)を建設してライフスタイル(暮らし方)を提案する。いろんな繋がり方があるというか、すべては繋がっているというか、福祉を起点に「豊かな生活」の創造が始まるというのは興味深いです。

日本も取りあえずは豊かな国で、GDPとかメダルの数とか、デンマークよりかなり上を行くんじゃないかと思うんだけど、日本で言う「福祉」って「介護」という言葉に代表されるように過酷な現場を連想する人も多いんじゃないでしょうか。一人一人の生活の質(暮らし方)で見た時に本当に豊かなのかどうか。冗談みたいな話だけど、日本の場合、スマホ世代が歳を取り施設に入所した時に、そこでの唯一の楽しみが「ポケモン探し」なんてことも十分に考えられるんじゃないかと思う。。。

日本にも職人文化があり、ディテールを仕上げる技があると思うんですが、家具のデザインの美しさという点では、全体としてデンマークなどのヨーロッパ勢に引けを取っているように思いますね。あと一歩のこだわりの違いというか、削ぎ落としの違いというか、車のデザインでも、たとえばアルファロメオの流線形とか、日本車は今もって真似しきれてないですよね。あと一歩なんでしょうけど、これが本物とフェイクをはっきり分ける大きな一歩なんでしょう。

今回の旅から、我が家のこれからのインテリアプランに活かせそうなアイデアも幾つか頂戴しました。ちなみにキタニジャパンでは、高齢の方や障害を持った方のためのオリジナル家具の製作・販売も行っているようですよ。宿泊した旅館もこれまた長いブログが書けるほど心動きましたが、こちらはまたいつか時間のある時に。飛騨高山。また車飛ばして行ってみたいですね。