2013年2月15日金曜日

これから尋問をするあなたへ

今夜の話がどれだけの数の人たちの人生に役立つものになるのか僕にはよく分からないのだけれど、昨日の弁論大会から一晩が過ぎ、僕なりに少し学び取ったものがあったのでここにメモしておこうと思う。

昨日は生まれて初めて反対尋問なるものをやってみた。そう、テレビドラマや映画でよく出て来る法廷のシーンそのままです。証人に弁護士が「あなたはヤマダさんと3月25日の夜に夕食を取りましたね」みたいな感じで質問攻めにするシーンです。

僕も出来るだけカッコ良く質問して、相手の急所を突いてやりたいと思ってたわけだけど、お相手さんも「これだけは言わない」とか「ここを突かれたらこう言う」といったことを十分に準備してきているので、

「これ、おかしいですよね?」
「ええ、確かに」

みたいな感じで、トントン拍子に話が進むことは、ま、ないんですよね。

それで、僕も一応は限られた時間の中でいろいろ作戦を練ったわけなんだけど、どうも自分が確立したいストーリーを全面に押し出しすぎたように思います。証人にも話の流れが分かってしまうと、つまりは、僕の質問の意味するところが相手にも容易に分かってしまうと、相手も構えるので無意識に出て来る答えはなかなか引き出せなくなるんですよね。

だから訴訟でストーリーを構築するのはもちろん大事なんだけど、尋問ではそのストーリー性を相手に感じさせないで証言させるような質問を並べた方が良いのかもしれません。ちょっとややこしい言い方をすると、トップダウンで尋問は構成するんだけど、見かけはボトムアップにするってこと。

そして、尋問では相手を説得したり、納得させたり、言い負かしたりしようとするのではなく(昨日、僕はこれをしていた)、個々の事実に対する証人の認識を一つ一つ明らかにしていけば良いんです。で、その個々の証言を証拠(データ)として、尋問後の弁論における更なるストーリーの構成に活用していけば良いんですよ。

つまりは証人尋問というのは、データ収集なんだよ。質問はそのデータを得るためのプローブ(probe)です。

ま、内容的には、昨日の僕の反対尋問でも必要なデータ収集はできたと思うわけなんだけど、お相手さんの弁護士さんと比べると、スタイルという点で言えば、僕のは所詮、素人さんの代物だったと思います。あと何回、僕の人生の中で訴訟をするか分かりませんが、次回があるなら、もう少しスマートにキメてみたいと思います。

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