2012年5月14日月曜日

マルチ感覚リハビリテーション

論文を読んだ。Frontiers in Human Neuroscience というFrontiers シリーズの一つに掲載されたレビュー論文。タイトルは "Multisensory Stimulation in Stroke Rehabilitation"。邦訳すると「脳卒中リハビリテーションにおける多感覚刺激」あたりでしょうか。先月にパブリッシュされているの
で、最新のレビューと言っても良いでしょう。上のリンクから無料で全文をダウンロードできるはずです。

脳卒中のリハビリテーションに関連したものを一つ読もうと思って検索し、見つけた論文なんですが、内容はさておき、この領域における最近の知見がたくさん引用されてて、若い人たち(別に年寄りでも良いんだけど)が勉強していく「取っかかり」としては、良い論文じゃないかと思う。

要約すると、いろんな感覚モダリティーを介した刺激を複合的に用いることで、脳卒中患者さんたちの認知・運動機能を高めることが可能かどうか。どうやったら高めることが出来るのかが考察されています。運動を想起したり、人の運動を観察したり、感覚系ネットワークの再構築を促すバーチャルな環境を設定したり、その他にも音楽療法とかTMS等を用いた非侵襲的脳刺激など、さまざまな方法が試みられており、失語や空間無視などの改善において有望な結果が報告されているということです。

しかしながら、治療介入のタイミングを早めた場合の効果の検証や、年齢、性別、麻痺側などの患者の特徴を考慮した研究を行うことがこれからの課題であるとしています。

全体的に、文章が6ページ以上にも渡ってツラツラと書き連ねられていて、唯一ある図は「ちょっとそれは強引な裏付けじゃないの?」と思わせるものではありますが、こういうレビューの依頼って通常突然やって来て、その時点で〆切も「マジか・・・」と思わせるほど「間近(マジか)」なので、執筆者には書き手としての事情がいろいろあるのかもしれません。

それにしても、読者としては、もうちょっとメカニスティックな考察が出来るようにならないと(別にこの著者のせいというわけではない)、この領域が「サイエンス」として成り立つことはないだろうと思います。More reserach and more imagination ですね。

次回もこの論文の話の続きをしたいと思います。お楽しみに。

Have a good night,

坂本年将

0 件のコメント:

コメントを投稿