2014年3月30日日曜日

買い物する脳

北陸に滞在した夜、誰もいないホテルのロビーで本を読んだ。ニューロマーケティングの本。『買い物する脳』。この四月から経営学部と人文学部の学生に脳科学の講義を4回することになっていて、そのうちの1回はマーケティングの話をしようと思っている。まだ一年生なので脳科学はもちろんのこと、経営や心理のことも何も分かっていないと仮定しておいた方が良いのだけれど、意識の高い学生には必ずや興味をもってもらえるよう話をするつもり。

著者は世界的に有名なブランドコンサルタントだそうで、もともとはニューロサイエンティストではない人なのだが、大学の研究者らと共同で3年にわたりさまざまな実験をしたらしい。簡単に言えば、人がモノを買う時の脳メカニズムを調べたわけですね。

まぁ、科学者の書いた本ではないので、専門的なことをとやかく言っても仕方がないのかもしれないけど、脳活動を調べることでその人の本心が分かるっていう主張の前提が曖昧で、「コレ、どうなんだろうね...」って思うところが山ほどあった。

市場調査において「人の言うことは当てにならない」というところから出発して脳の働きを見てるわけなんだけど、その働きを解釈する前提って何なんだ?ってことですよ。たとえばタバコの広告を見てその人がタバコを吸いたいかどうかを脳活動から判断する時に、何を根拠に判断できるのかが明確に解説されていないんです。

ミラーニューロンの話が出てくるところは最もスゴかったですね。たとえば、少女が誰かに憧れてその人のようになりたいと高級ブランドを購入するのはMNの働きによって説明できる。「驚愕的だ」「ショッキングだ」なんて言葉がたくさん飛び出してくるんですが、コレ、本気で書いてるのかな...って、僕としては、著者の本心はさておき、その短絡性が最も驚愕的やったですけどね(笑)。

ま、脳の話が出て来ない箇所についてはさすが一流のマーケターだけあってなかなか面白い本(アメリカではベストセラーになったらしい)だったんだけど、この手の脳科学本って結構たくさんあるんでしょうね。。。もっと勉強しないと。あっ、僕が、ってことです。。。^^

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