2012年11月20日火曜日

知ってるだけじゃダメなんだよね

今日は3限に「脳神経科学Ⅱ」というクラスがあった。2年生のクラス。いつもは授業の初めに 15分ほどの Quiz (小テスト)をやるのだが、今日は珍しくこれがなかった。で、授業を始めるにあたり、どう学生に緊張感を持ってもらうかが一つのテーマだったんだけど、考えた末に、と言う
か、ま、その場の思いつきで、授業中に当てられて僕の質問に解答できたら次回の小テストにボーナスとして2点加算。でも答えられなかったら1点マイナスというルールを設定しました。1点のリスクに対してリターンが2点なんだから、悪くないですよね。

それで、このクラスは英語で書かれた原著論文をガンガン読んでいくクラスなのだが、今日は実験データをまとめた幾つかの図を見ながら、なぜ著者らはその実験をしたのか、そしてその結果からどのようなことが分かるのかを学生と対話しながら進めて行きました。

実際にはランダムにいろんな学生を当てては、その学生とお喋りしながら正解へとリードしていったわけですけど、これをやりながら気付いたことは、人間というのは学んだことを直ぐに活かせない生き物だってこと。どういうことかと言うと、たとえば、「グルタミン(G)酸受容体のシナプス伝達における役割について述べなさい」という質問を投げかければ、彼らはかなり詳しく正解を書けるんですね。なぜなら、その解答はテキストに書いてあるし、そのテキストを理解し記憶する知力を彼らは兼ね備えているからです。

でも知識というのは同じ知識(たとえばG酸受容体に関する知識)であっても、ただ知っているというレベルでの知識と、使えるというレベルでのそれでは意味合いが全く違うんですね。今日の例で言うと、彼らはG酸受容体の役割は知ってるんだけど、その知識をデータ(現象)の解釈に応用できないということなんです。

こういうことって、人が何かを学び取っていくプロセスの中で必ずぶち当たる壁だと思うんですよ。「知ってはいるんだけど。。。」というステージ。今日は理学療法と絡めて(実はこれもたまたまその時思いついただけなんですが)、理学療法が上手にできるようになるには、自分が持っている知識を患者さんの症状を理解したり治療したりすることに応用できないとダメなんだよ、なんてことを言ったんだけど、ちゃんと伝わったかな。ま、伝わったとしても、上の文脈からすると、それが実際にできるようになるには一筋縄ではいかないんでしょうけどね。。。

この「知る」から「使える」へのステップって大事なことで(ビッグステップだ)、多くの人はその事実を認識してるはずなんだけど、相変わらず学校では「知る」ことしか教えてなかったり、測ってなかったりするんですよね。不思議なことに。。。

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